3年前、卒論に取組んでいた学生から電話がかかってきました。カラダが動かなくなって入院しているとのこと。病名は「栄養失調」。
物があふれる時代に、なぜ「栄養失調」になるのか。その原因は、彼の食生活にありました。 彼は、どこに連れて行っても「唐揚げ定食」しか食べませんでした。野菜と言えば、添えられているわずかばかりのキャベツの千切りだけでした。
私は大学の講義で、学生に自分の3日間の食事を写真に撮ってきてもらった事があります。ある女子学生の食事は次のようなものでした。 初日は、朝食「なし」、昼「鶏の唐揚げ」、夜「お好み焼（惣菜）」。2日目は朝「洋菓子1個」、昼食「なし」、夜「くし揚げ（外食）」。 3日目は朝「おにぎり2個」、昼「そうめん」、夜「ハンバーグ、ごはん」。全員の写真を並べてみると一目瞭然。 持ち帰り弁当やハンバーガー、菓子パン、コンビニおにぎりといった食事内容、もしくはスナック菓子一袋、バナナ一本だけで1回の食事を済ませるなど、 大学生の貧しい食生活が浮き彫りになりました。このような食事を続けていれば、腸の動きが悪くなり、お通じも悪くなります。 その結果、最近増えている大腸がんや大腸ポリープなどの病気を引き起こす可能性もあるのです。また、生活習慣病などの症状に及ぼす影響も考えられます。

いま、私は、「食事を変える食育プログラム」の一環として、「ご飯、みそ汁、おひたし(煮野菜)、焼き魚」という「基本の食」を摂ることを推進しています。 栄養バランスをとるために安易にサプリメントに依存するのではなく、「食」そのものを改善することを試みる。「基本の食」は健康的な食事の基礎を学ぶ一歩です。