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第1回食育アドバイザー研修会レポート
1月16日に09年第1回食育アドバイザー研修会が開催されました。
この研修会は、大学生協の食堂関係の職員や新学期サポートセンターで「ミールカード」販売のアドバイザーとして従事する学生を中心とし、「食」「食べること」とは何かを理解して組合員の食生活を改善できる、アドバイザーを育成することを目的として行われました。
※ミールカードとは大学生協が発行している生協食堂年間利用定期券です。大学生協により金額が異なりますので詳しくは各生協にてご確認ください→福教大生協のミールカードをみる

開催の挨拶の後、九州大学大学院 農学研究院農学資源経済学部門の助教博士である佐藤 剛史先生の基調講演が始まりました。
テーマは「大学生の食は最後の砦」先生はまず、ご自分の経歴紹介から講演をスタート。絶妙な語り口調と話の面白さに笑いがおこります。

参加者はグループ別に着席しており、白い用紙が配られ、これを4等分して・名前・所属・嫌いな食べ物・最近気になっていることを記入しペアで自己紹介するよう指示がありました。各自熱心に記入していきます。こういうツール1つで、自己紹介もスムーズになりますね。

次にこれを裏返して、当日の朝からさかのぼって前日の昼までの三食をどこで、だれと、何を食べたか記入するように指示がありました。
しまった!模範的な食事をしてれば良かった・・・と思ったのは私だけでしょうか?
模範的な食事? 私の中では一汁三菜、脂っこいものは控えめに、野菜を多く、そんなイメージです。実際にそう思っているのに、そんな食事が摂れてない、そこに先生のお話のテーマの1つが隠れていたような気がします。
ここで再びペアでコーチングするように指示がありました。お互いの食事を見て、色々な質問をしていきます。ここではあくまでも批判や評価をするのではなく相手の話を聞き、どうすればいいと思うかを考えていきます。子供の頃は出される食事を残さず、好き嫌いなく食べるように言われて育ちますが、大人になると好きなものを
好きな時間に食べることが出来る。そのことを疑問を持たずに過ごしがちですが、他人に聞かれると自分の食事に改善の余地があるように思える、そんなグループワークだったような気がします。

先生が言われたのは「食育はむずかしい」ということでした。「コンビニ、ファミレス、居酒屋、今の世の中は食べ物があふれています。自分でその中からコントロールして食べることの難しさ。教えられる立場でしょうか?何をどうやって伝えていくのかが自分の中で明確ですか?九大の学生に実際の食事内容を書いてもらい、野菜にマルをさせると野菜がとても少ない。女の子は特に野菜が不足すると葉酸不足になる。将来母親になるために、自分達のものであって自分達のものでない体。大学生はお金がない、自炊しようと思う最後のチャンスではないか?社会に出るとお金が入り、付き合いは増える。子供を産み育てる、その先を見据えて、大学生の食は最後の砦だと考えられる。」

先生の著書「ここ」から抜粋のスライドが流されました。静かに涙する音も聞こえてきました。「食べる」ことから「生きる」こと、「生きる」ことから「生かされている」ことを考えさせられました。スライドの後はグループでフリートーク。各々の育った家庭のこと、母親のこと、当時の食卓のこと等が話題に上っていたようです。

次に香川県の小学校で始まった「弁当の日」の九州大学での取り組みのお話がありました。小学生は自分1人でお弁当を作るそうですが、九州大学では1週間に1度、できるだけ参加してもらえるようにハードルを低く1人一品の持ち寄りとのこと。初めての1人暮らしで利己的な生活になりがちですが、人のために料理を作る喜びが自分の喜びになる、その経験は大切だそうです。
例えば嫌いなものがある場合。朝から揚げ物をした男子学生の作ったものに嫌いとは言えない・・・好き嫌いがなくなる。「いただきます」「ごちそうさま」が言える・・・言わないと大勢で食べ始められない。生活の何かが変わるのではなく、生活そのものが変わる・・・お弁当作りのために夜更かしせず、早起きしてお弁当作成。
残り物で朝ごはん。昼が待ち遠しくなる・・・。自分で作ってみて初めて、今まで作ってもらってきたお弁当への感謝の気持ちが生まれるのかもしれません。

午後からは今の学生の食生活の実態と今後の食堂事業の課題についての話がありました。全国学生生活実態調査を基に学生の食生活の実態の把握、例えば食費の節約と朝食の欠食、健康調査等々から学生自身に食の大事さを理解して欲しい、その思いから大学生協として食育活動に力を入れたいということを参加者で再確認しました。

その後、2004年から販売をおこなっている「ミールカード」について、グループワークを行いました。現状のものについての良い点、悪い点を考え、問題点をふまえて独自のミールカードを考えてみます。良い点を考えることにより、自分達が販売する際のポイントも見えてくるような気がします。「ミールカード」の良さを理解していただくために、学生と保護者の方の両方の視点からオススメのポイントも考えました。そして実際に販促のシュミレーションを行い、グループワーク終了となりました。
※ミールカードとは大学生協が発行している生協食堂年間利用定期券です。大学生協により金額が異なりますので詳しくは各生協にてご確認ください→福教大生協のミールカードをみる
大学は学業が最優先であることはもちろんですが、社会に出る前の最後の期間でもあります。食への感謝、生きる力を持っている学生を育て社会に送り出していくこと、そこを大学生協として少しでもお役に立ちたい、その思いを強く持ちました。
好きなものを好きな時間に食べること、それは1人であることが大きな要因かもしれません。1人で自炊することは経験がなければ最初は非常に難しいと思います。生協の食堂で栄養バランスの良いメニューを提供することはもちろん、学生の皆さんが自分で考えながら食べることが出来るよう最初の一歩をお手伝いしたい、その想いを改めて感じました。

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